インタビュー

オリジナルキッチン作るまでの経緯や使用感は?実際に作った方にインタビューしてみた。

オリジナルキッチンが気になるけれど、周りに取り入れた人がいない。実際の使用感とか正直なところどうなんだろう、と思っている人も多いことでしょう。
ここで、実際にオリジナルキッチンを取り入れたお客様にインタビューしてみました。

「なんでわざわざ汚いの作るんですか?」と言われました。

ショールームを見にいった柴野さんは、スタッフにこんなことを言われたそうです。
「私が求めていたイメージを話したら『なんでわざわざ汚いの作るんですか?』と言われました。ツルツルのは嫌なので、キッチンは綺麗なものじゃなくて良いんですって言ったんです。そうしたら、「今はみなさん、利便性を考えてすぐ拭いて綺麗になるものを求めてますよ」と言われ、『あ、そうなんですか。私は逆なんですよね』って。」

Q.今備え付けのキッチンは、システムではないじゃないですか。それは柴野さんのアイデアでしょうか?

吉田技建さんに「こうしてもらえますか?」とお願いして、「やりましょう」となりました。はじめはアイランドキッチンにすると言っていたんですが、真ん中に水道入れるとちょっと作業が必要で。テラコッタの下に蓄熱があるので、水道を入れることが出来なかったんですよ。だからここは可動式にして、水道は別の場所にしたんですけど、これ自体も売ってないんですよね。そうしたら社長が「じゃあうちで作ってみますね」と言ってくれて、私がデザインを書いて「こういうふうにしてください」と希望を伝えて、作ってもらったのが会社にあります。

柴野さん

Q.システムキッチンも、入れなかったのですか?

好きなものがなかったから入れませんでした。そう、2層式のシンクなんてなかったので。「作るしかないですね」と言ってくれて。で、引き出しの取っ手とか可愛いパーツも買っておいたんですよ。「これ付けられますか?」と聞いたら、できると言ってくれたから、できちゃった。

柴野さん

不便はないです、全く。満足しています。

Q.ショールームは見に行かなかったんですか?

行きましたよ。キッチンのメーカーなど見にいきました。

柴野さん

Q.どうでした?

綺麗すぎて。ベタ塗りの白いペンキのものとか、好みに近いものもあったんですけど、なんか違うんですよね。ここがタイルじゃないとか…。もう、自分がこういうふうにしたい、という想いがあったんですよね。

柴野さん

Q.ショールーム行くと機能性の良さを説明してくれるじゃないですか。それに対してはどう考えていました?

やっぱり想い描いたイメージとは違うから、そんなことを言われてもなあって思っていました。合わなかったですよね、私には。

柴野さん

Q.自分で作ってみて。使い勝手はどうですか?

不便はないですよ。全く。うん、満足しています。

柴野さん

システムキッチンの方が不便なこともありますよね。デットスペースは使えない、とか。

Q.皆さんそうなんですよね。吉田技建さん結構作られてるじゃないですか。システムキッチンがいいもんだと思ってる人たちも多いじゃないですか、機能性を重視する方も多いと思います。

機能性、機能性と言いますが、私の使い方からすると、システムのほうが不便なときもありますよ。L字になって角のデッドスペースは使えない、みたいな。

柴野さん

Q.社長、柴野さんより前のお客さんは全部システムキッチンですよね?

吉田社長

そうでしたすね。うちの会社にキッチンがあるでしょ?それは柴野さんがどうしてもこういうタイルで作りたいって、ようするにシステムキッチンじゃなくてオーダーで作りたいっていうから、じゃあとりあえず作ってみるべっていって、うちの会社にまず作ったの。
あれを見てもらわないとわかんないじゃないですか、初めての物だから。それを見てもらってこういうふうに作ったんだけど大丈夫ですかって確認してもらうために作ったんですよ。
どうせだから自分とこで使えるように作っちゃえって思ってね。それを見てもらって、あ、これでいいですって言ってもらったからこれになってる。これも柴野さんの要望で、可動式で、キッチンの補助的な部分が出来たり、ここで食事を取れたりっていうものが欲しいっていうことで、こういうふうな形になっていったと思いますね。

扉や引き出しは、少なければ少ないほどコストが掛からない。

Q.実際のところ、システムキッチンを売るのと、オリジナルを作るのとでは、コスト的にはどのくらいの差があるのですか?

吉田社長

オリジナルで作った場合、今の単価でいえばシステムキッチンの中級グレードに、ちょっとプラスぐらいかな。

Q.システムキッチンじゃなくオリジナルで作りたい多いじゃないですか。

吉田社長

扉や引き出しといったパーツは、少なければ少ないほどコスト掛からなくなるんですよね。あと、IHクッキングは一般的だけど、たとえば食洗器はつける、つけないによってプラスになったり。
オーダーなので、、これとこれとこれを付けていくらになりますかって言われると概算的な金額しか言えない。だって付けるものによって値段が変わっちゃうから。1つ1つオーダーなので。だから1個1個見積もりを出しています。柴野さん宅の場合は、KOHLER製の蛇口も初めて使ったし、KOHLERの水槽も初めて使いました。海外のメーカーや昔のものとなると、やっぱり何かあったときに壊れたら部品供給が難しいかもしれないですよ、という不安要素を前置きしながら、「いや、それでも使いたい」と柴野さんが言ったので使いました。やっぱり、提供する側としても何か不安になるじゃないですか、メーカーの保証がないというものは。
仮になにか壊れたときに直してくださいって言われても、物が物なだけにすぐ取り寄せきかない場合もあるので、そういう心配はありましたよね。
国産の物のほうが絶対供給は早いんです。でも柴野さんの考えからすれば、やっぱりこの形とこのデザインが好きだから使いたいっていうことだろうから、それをじゃあ使いましょうってことにはなったと思うんですね。

そうです、その通りです。

柴野さん

手作り感のあるものは、使っていると味わいが出てくる。

吉田社長

柴野さん宅のホーローも、やっぱり国産のホーローと違って、焼きがちょっと甘いので傷が結構付くよね。アメリカ製なのかな?

まあ、まあ。それはありますね。

柴野さん

吉田社長

でも国産のホーローも長い間使うとやっぱり、やれてくる。言い方を変えれば汚くなる。だけれども「やれる」っていう部分は、人それぞれ。これが汚いと思う人は汚いし、このやれ方がいいよね、いい味出してるよねって思う人には良く見える。その辺の違いは人によって違ってくる。
だからこういうものを私達からすすめる場合は、こういうふうになりますよと、うちの事務所のテーブルなんかを見せて説明しています。
あのテーブルも、何十年、まあ百年以上経ってるものだと思うんですけど、たぶん、これ持ってくるとき足ガタガタして怖かったんで、これで大丈夫なのかなって思いながら持ってきた記憶があるんだけど。でも、それは、そのものしかない味なんですよね。
たぶん物が変わると、また違った味があるんですよ。
それは何かっていうと、木であったり、隙間であったり、節であったり、これらからトータル的に出る味なんですよ。
既製品のものには、その味わいがないんですね。だからキッチンにしても、テーブルにしても、手作り感のあるものを使うと、そんな味を楽しむことができるんですよね。

デメリットは伝えながら、楽しめる方には味を楽しんでほしい。

吉田社長

作るわけだから、変なものは出来ない。一応試作品を作って、それを見てもらってじっくり考えてもらっています。
狂いのないものとか、性能のいいもの、性能って言い方は変かな?
木だから狂うんだけど、狂わないものって考えると、既製品のほうが全体的に安定して長期的に持つだろうなとは思うけど、味わいはないよね。味が出てこない。
汚れたり子供たちが落書きしたりっていうのも、それも味なんです。だから使えば使うほど味が出る。それが汚れって感じちゃう人には、おすすめしません。

柴野さんが家に対して一番大切にしている部分は、経年変化していくのが家だという考え方でした。だから決してずっときれいである必要性はなかった。
だからやれて、汚れていったところが、その家の歴史みたいなものになっていく。そこが味わいに変わっていくという考え方だと思うんですよね。
全体的に見ると、ひびが入ってたり、あそこの塗装が剥がれてたりするじゃないですか。
普通あれを気にする人は嫌ですぐ修理します。でも、大きな地震が起きて、その地震でひび入って、割れてるんだと思うんだけども、それもここで暮らしてきた中での出来事だから、そのままにしておこうかな、と。そういう家ってなかなかないんですよね。
思っててもやっぱり気になる人は気になるし、こういうものも味わいだよっていっても、やっぱり古くなってきたなって思う人もいるかもしれない。

最初からこれはアンティークで、古いものが良くて買ってるからそうは思わないけども、うちは新規で作るわけじゃないですか。
そうするとそれが10年経ち、20年経ちしたら、なんか汚れてきちゃったねって思う人は思うかもしれない。それを前もって話して、そこを楽しんでください。だからうちのテーブルをわざわざ傷付けるんです。こういうふうになりますよって、こういうふうに付きますよって。それでも良かったら作ります。それが嫌だ、気になるっていう方にはそれ以上おすすめしません。床材も、同じなんですよね。こういう材質と同じもので作っているので、このような同じ状況になります、そのデメリットも伝えながら、味を楽しめる方には楽しんでほしい。

これは全て柴野さんから教えていただいたことです。


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